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Camera 2026.07.25 Read 16 min

SONY RX10Vは誰のためのカメラか考えてみた|約9年ぶり後継機は7月31日発売

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RX10 Vは「月2回以上、望遠域で撮る予定があり、レンズ交換はもうやめると決めた人」のカメラだ。予約は326,700円から。そうでない人は、この36万円を出さなくていい。運動会など年数回のイベント用なら、待て。

先に、この記事の立ち位置を書いておく。SONY RX10 V(DSC-RX10M5)の発売日は2026年7月31日。つまりこれを書いている2026年7月25日時点で、まだ世に出ていないカメラだ。僕は実機に触れていない。だからこれはレビューではなく、公式発表のスペックと価格、発表時の記事だけを材料にした「誰のためのカメラか」の考察だ。触っていない機材の画質や操作感は語らない。発売後、実機の情報が出揃ったら、この記事は答え合わせを兼ねて更新する。

その前提で、なぜ発売前に書くのか。予約するか、発売を待つか、見送るか。一番迷うのは、買った人のレビューがまだ存在しない今だからだ。

7月9日、ソニーの発表を見て、思わず声が出た。RX10、まだ生きていたのか、と。前作RX10 IVの発売は2017年10月6日。そこから8年9ヶ月、このシリーズは沈黙していた。終わったラインだと、僕を含めてみんな思っていたはずだ。それが約9年ぶりに、36万円という堂々とした値札を下げて帰ってきた。

約9年ぶりの後継機、RX10 Vとはどんなカメラか

ひと言でいえば「レンズ交換のできない、全部入りの望遠カメラ」だ。ツァイス バリオ・ゾナーT* 24-600mm F2.4-4.0という大口径・高倍率ズームが1.0型センサーに固定されていて、広角から超望遠までこれ1台で済む。ソニーの商品ページも、日常の撮影から本格的なスポーツ、野鳥撮影まで1台でカバーする、とうたっている。

面白いのは進化のさせ方だ。レンズとセンサーの基本設計はRX10 IVから受け継ぎ、約9年分の進化は頭脳に集中している。エンジンはBIONZ XRになり、AIプロセッシングユニットが載って、人物だけでなく鳥・飛行機・昆虫・車/列車まで認識してAFが追いかける。連写は約24コマ/秒から約30コマ/秒へ、しかもブラックアウトフリーで最大546枚(JPEG)続く。位相差測距点は315点から575点。動画は4K 120p(クロップあり)に対応し、4K 60pは5.4Kオーバーサンプリングのクロップなし。S-CinetoneやS-Log3も使える。

主要スペックを発表値で並べておく。

項目RX10 V(発表値)
レンズツァイス バリオ・ゾナーT* 24-600mm F2.4-4.0(一体型・13群18枚)
センサー1.0型 Exmor RS CMOS・有効約2,010万画素
AF位相差575点・AI被写体認識(人物/動物/鳥/昆虫/車・列車/飛行機)
連写AF/AE追随 最高約30コマ/秒・ブラックアウトフリー・JPEG最大546枚
動画4K 120p(クロップあり)・4K 60pは5.4Kオーバーサンプリング・S-Cinetone/S-Log3
EVF / モニター0.5型 約369万ドットOLED/3.0型チルト式タッチパネル(バリアングルではない)
質量約1,111g(バッテリー・カード込み)・約136.4×94.5×151.3mm
バッテリーNP-FZ100・静止画約570〜630枚(CIPA)・USB-C給電対応
価格市場推定360,000円前後/ソニーストア363,000円/キタムラ326,700円(いずれも税込・2026年7月25日時点)

価格には3つの顔がある。発表された市場推定価格が税込360,000円前後、ソニーストアの先行予約が363,000円。そしてカメラのキタムラの予約が326,700円で、ソニーストアより36,300円安い。予約は7月16日10時に始まっていて、キタムラは発売日にお渡し(一部地域を除く)、ひとり1点限りだ。キタムラは60回まで金利手数料を店側が負担する分割(月々約5,445円)も出しているが、分割の月額を見て「買える気がしてきた」なら、それは一度立ち止まるサインだと僕は思う。36万円は、どう割っても36万円だ。

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ここからが本題だ。スペック表を眺めていて面白かったのは、性能の数字そのものより、「このカメラの前に立つ人の顔」がやけにくっきり割れることだった。5人、思い浮かべてみた。断っておくと、この5人は僕が想像した人物で、実在しない。ただ、量販店のカメラ売り場やSNSのどこかに、必ずいるはずの人たちだ。その一人ひとりに、Zen Gadgetの4つの答え、買え・待て・買うな・手放せのどれかを置いていく。

運動会のためだけに、買うべきか?

ひとり目は、スマホで運動会を撮ってきた親だ。ズームで撮った我が子が毎年粗くて、家族に「今年こそちゃんと撮って」と言われている。子どもの成長は今しか撮れないから、長く使えるならいい投資だ。そう自分に言い聞かせながら、このスペック表を眺めているのではないか。

その「子どものため」という理由づけを、僕は笑えない。娘のためというお題目で機材を検討したことなら、僕にも何度もある。そしてカタログの上で、RX10 Vが運動会向きなのは事実だ。600mm相当の望遠、被写体を掴んで離さない575点AF、ブラックアウトフリーの約30コマ/秒。発表を受けた記事でも、真っ先に挙がる用途が運動会だった。

それでも判定は、待て。引っかかるのは出番の数だ。運動会、発表会、七五三。数えてみると年に数回ではないか。「年3回のために33万円は正気か」と自分でもどこかで思っているなら、その感覚のほうが正しい。僕は以前、カメラを買うか借りるかの損益分岐を計算して、年14回使うかどうかがひとつの目安だと書いた。年数回のイベント用途は、レンタルが素直に勝つ領域だ。

だから順番はこうしたい。先にレンタルで1回撮ってみるか、価格が約1/5のLUMIX FZ85D(64,350円・光学60倍)で試す。FZ85Dのセンサーは1.0型より小さく、写りもAFもRX10 Vとは別物だが、「自分は望遠で撮り続ける人間か」を確かめる道具としては十分だ。そして運動会が終わったあとも、ふつうの週末にカメラを持ち出したくなっている自分に気づいたら、そのときは買っていい。それはもうイベントのための機材ではなく、趣味が始まったサインだからだ。

なぜ野鳥・飛行機の入門に、これが最有力なのか

ふたり目は、退職して2年目、散歩コースの川辺で野鳥を見るのが日課になった人だ。航空祭にも年に1回行く。健康のために歩くついでですよ、と言いながら、河原で白い超望遠レンズを構える常連たちのことを、少しだけ意識しているのではないか。

フルサイズの一眼に600mm級の望遠レンズを組めば、写りは間違いなく上だ。ただ、総額はこのカメラの2倍3倍に膨らんでいくし、担いで歩く重さも別次元になる。同じ土俵で張り合う必要は、たぶんない。RX10 Vの核になっている性能、鳥と飛行機を認識して追い続けるAF、600mmで約30コマ/秒、1.0型の画質を約1,111gで持ち歩けること。これが全部そのまま刺さるのは、5人の中でこの人だけだ。

対抗馬はNikon COOLPIX P1100(123,400円)だろう。光学125倍、3000mm相当。月や遠くの鳥をとにかく大きく写すならこちらが上だ。ただしセンサーは1/2.3型で、1.0型とは面積がまるで違う。店頭で触って「写りがどこかスマホっぽい」と感じたことがあるなら、その違和感の正体はセンサーサイズだ。大きく写ることと、きれいに写ることは別の話になる。

判定は、買え。週に数回の散歩で使って、これから10年撮るなら、1日あたりに割った値段は5人の中でいちばん安くなる。そしてこの人には、価格より重い論点がある。体と目がいちばん元気なまま野鳥を追える年数は、待っても増えない。約9年ぶりに出たカメラの「次」を待つ時間が、いちばん高くつく。ひとつだけ現実的な注意を書いておくと、約1,111gは店頭で持つと軽く感じても、毎日の散歩では首と肩に効いてくるはずだ。ストラップにはお金をかけていい。

旅行の「一台完結」に向いているか?

3人目は、数年前に買ったミラーレス一式を防湿庫に眠らせている人だ。レンズ選びが面倒で持ち出さなくなり、「旅先で全部撮れる1台」を探してRX10 Vに辿り着いた。旅行中にレンズ交換なんてしていられない、1台で済むのが一番合理的。その理屈は、一見筋が通っている。

でも、と僕は思う。身軽になりたい人が、約1,111g・奥行き151.3mmのカメラを検討しているのは、矛盾ではないか。そして旅のスナップで、600mmの超望遠と動体AFと約30コマ/秒の出番はどれだけあるだろう。このカメラの値段の大半は、旅行スナップでは使わない性能に払うお金だ。使わない性能のぶんの重さと大きさだけが、旅に同行することになる。初回の旅行では持って行く。2回目は「今日は歩くから」とホテルに置く。3回目からスマホに戻る。そういう筋書きを、本人もどこかで予感しているのではないか。

判定は、買うな。この目的なら、だ。同じ1.0型ならRX100M7(188,100円・24-200mm・約302g)というポケットに入る選択肢があるし、もっと言えば、お金を使う前に試せることがある。手持ちのミラーレスに標準ズームを1本だけ付けて、次の旅行に持って行く。レンズ交換の迷いを禁じ手にした状態でそれで足りたなら、必要だったのは新しいカメラではなく、選択肢を減らすことだったとわかる。0円の実験で確かめられる結論に、36万円を先払いしなくていい。

レンズ資産を手放して、RX10 V一台にするという判断

4人目が、この記事でいちばん書きたかった人だ。フルサイズのボディにレンズ6本。機材は立派なのに、直近1年の撮影は月1回あるかどうか。出かける前のレンズ選びで疲れて、結局持ち出さない。「全部売ってRX10 V一台にしたら、楽になるんじゃないか」という考えが、頭から離れない人。

レンズを売るのが怖いのは、お金の問題ではないと思う。10年かけて選んできたレンズを手放すことは、その10年の自分の目とお金の使い方を「間違いだった」と認めるような感覚がある。査定額という具体的な数字が、それを突きつけてくるのが怖い。だから防湿庫を眺めてため息をつく夜だけが積み重なっていく。違うだろうか。

僕はこの怖さを知っている。5年使うと書いたNikon Zfを、1年足らずで売ってNikon ZRに買い替えた。手放す判断は、買う判断より体力が要る。でも売ってしまえば、あとに残ったのは身軽さだけだった。それからもうひとつ。レンズが6本あることは、撮らない言い訳が6個あることでもある。少なくとも僕の防湿庫ではそうだった。「今日はどのレンズにするか」から始まる撮影は、始まる前に終わっていることが多い。

判定は、手放せ、それから買え。この順番だけが条件だ。先に手元のシステムを売ると決めて、査定に出して、戻ってきた原資の範囲でRX10 Vを買うなら、家計にも精神にも筋が通る。逆に、売らずに「追加で」買うなら、それはレンズ7本目と同じことで、買うな。迷いの選択肢がひとつ増えるだけだ。

覚悟しておくことも書いておく。1.0型だから、高感度とボケでフルサイズとの差を感じる日は必ず来る。そのとき、戻りたくなるかもしれない。それでも「これ1台しかない」という状態が持ち出す回数を増やすなら、1年後のあなたに残るのは画質の差ではなく、撮った枚数のほうだ。

推し活・ライブ撮影に持ち込む前に、確かめること

5人目は、好きなグループの現場にスマホで通ってきた人だ。天井席から撮った豆粒の写真に限界を感じて、SNSに流れてくる「神画質」の撮影者に憧れている。発売前の先行レビューには「ライブ・推し活専用カメラとしても真価を発揮する」と題した記事まで出ていて、600mmの望遠と明るいレンズは、たしかにその方向を向いている。

ただ、この人の36万円は、5人の中でいちばん重い36万円だ。遠征の3〜4回分。それを削ってカメラに替える判断なのに、機材より先に確かめるべきことが2つ、まだ確認されていないのではないか。ひとつは規約。自分の現場は、そもそもカメラの持ち込みと撮影が許されているのか。ここが曖昧なまま機材だけ検討しているなら、順番が逆だ。もうひとつは暗所。1.0型センサーの高感度画質は、発売前の海外レビューでも厳しめの評価が出ている。明滅するライブ照明はまさに高感度勝負の現場で、「思ったほど撮れない」が起きうる条件が揃っている。

判定は、待て。憧れを否定する気はまったくない。順番だけ入れ替えてほしい。まず現場の撮影規約を確認する。持ち込めるとわかったら、レンタルか中古のRX10 IVで1現場だけ試す。それでも熱が冷めなければ、そのときは買えに昇格だ。1現場試したあとの36万円は、憧れへの支払いではなく、確信への支払いになっている。

RX10 Vは買いか、それともRX10 IVの中古で十分か?

5人の判定を書いたところで、必ず出る質問に答えておく。「型落ちのIVを中古で買えば安く済むのでは」だ。

答えはシンプルで、いまのIV中古は安く済まない。RX10 IVは生産完了で、新品はほぼ市場に残っておらず、残っている新品はVに迫る値段まで高騰している。中古はキタムラで285,800円から、メルカリの実勢は23万〜29万円が中心。極美品なら32万円、メーカー保証付きをうたう新品には375,000円という出品まである。一方、新品RX10 Vのキタムラ予約は326,700円。約9年前のカメラの中古と、新品の後継機の差が、数万円まで縮んでいる。

項目RX10 IVRX10 V
発売日2017年10月6日(生産完了)2026年7月31日
レンズ / センサー24-600mm F2.4-4.0・1.0型(基本設計は共通)
連写約24コマ/秒約30コマ/秒・ブラックアウトフリー
位相差測距点315点575点
AIプロセッシングユニットなしあり(鳥・飛行機・昆虫・車/列車なども認識)
入手価格の目安中古23万〜29万円中心(メルカリ実勢)/キタムラ中古285,800円〜新品326,700円(キタムラ予約・税込)

数万円の差で、AFの頭脳と連写が約9年分新しくなる。いまから買うなら新品のVのほうが筋がいい、というのが僕の見立てだ。発表を受けた比較記事でも、RX10 IVとの価格差は正当化できる、という評価が出ている。IVの中古が意味を持つのは、さっきの推し活の人のような「買う前に1現場だけ試したい」という検証目的くらいで、それなら買うより借りるほうが素直だと思う。逆に、いまIVを使っている人は、買取の値が付くうち(キタムラの買取は最大89,000円)に動くかどうかを、Vの実機評価が出てから決めればいい。

買え・待て・買うな・手放せ。5人の判定まとめ

誰のためか判定理由
運動会の親待て出番が年数回なら、レンタルかFZ85Dで検証してから。日常でも撮りたくなったら買え
野鳥・飛行機を始める人買え鳥・飛行機認識AF×600mm×約1,111gが全部刺さる唯一の層。「次」を待つ時間がいちばん高い
旅行の一台完結派買うな望遠と連写の出番がなく、重さだけが旅に残る。RX100M7か、手持ち機材の1本縛りで足りる
レンズ沼に疲れた人手放せ→買え先に売却、原資の範囲で購入なら筋が通る。売らずに追加なら買うな
推し活・ライブ撮影待て規約確認と1現場検証が先。熱が残っていたら買えに昇格

それで、僕自身はどうなのか。買わない。冒頭の基準に自分を通すと、いまの僕の生活には、600mm域で撮りたいものが月2回もないからだ。娘は2歳半で、運動会はまだ先。5人の誰の椅子にも、僕は座っていない。RX1R IIIに惚れて、それでも買わなかったときと同じで、スペック表を眺めて楽しいことと、買う理由があることは、別物だ。

ただ、数年後に娘の最初の運動会が来たら、僕はたぶんこの記事を読み返す。そのときのRX10 Vの中古相場と、自分の持ち出し頻度を眺めて、ひとり目の親とまったく同じ問いを、自分に出すことになる。そのための判断基準を、発売前のいま書き残しておいた。7月31日の発売後、実機の評判が出揃ったら、この記事は更新する。

よくある質問

RX10 VとRX10 IVの違いは何ですか

レンズ(24-600mm F2.4-4.0)とセンサー(1.0型)の基本設計は共通で、進化は処理系に集中している。エンジンがBIONZ XRになり、AIプロセッシングユニットで鳥・飛行機・昆虫・車/列車などの被写体認識に対応した。連写は約24コマ/秒から約30コマ/秒のブラックアウトフリーへ、位相差測距点は315点から575点に増えた。4K 120pやS-Cinetone対応など動画面の進化も発表されている。

RX10 Vの発売日はいつですか。予約はどこが安いですか

発売は2026年7月31日予定で、予約は7月16日10時から始まっている。2026年7月25日時点の予約価格は、ソニーストア363,000円に対してカメラのキタムラが326,700円で、差額は36,300円。市場推定価格は税込360,000円前後と発表されている。

運動会用に買うべきですか

用途が運動会など年数回のイベントだけなら、待て、が僕の答えだ。まずレンタルか、価格が約1/5のLUMIX FZ85D(64,350円・光学60倍)で「自分は望遠で撮り続ける人間か」を確かめてからで遅くない。イベントが終わっても持ち出したくなっているなら、そのとき買う価値が出てくる。

中古のRX10 IVで十分ですか

RX10 IVは生産完了で、中古相場はメルカリで23万〜29万円が中心、キタムラ中古は285,800円から(2026年7月25日時点)。新品RX10 Vのキタムラ予約326,700円との差が数万円まで縮んでいるため、約9年分新しいAFと連写を持つVのほうが筋がいいというのが僕の見立てだ。短期の検証目的なら、IV中古を買うよりレンタルを勧める。

RX10 Vに弱点はありますか

発売前の海外レビューでは、1.0型センサーゆえの高感度画質の厳しさ、モニターがバリアングルではなくチルト式である点、約30コマ/秒連写時はRAWが非可逆圧縮になる制約などが指摘されている。僕はまだ実機で確認できていないので、発売後に評判を踏まえてこの記事を更新する。

価格・仕様は2026年7月25日時点。スペックは発売前のソニー公式発表値に基づく。販売価格と在庫は変動するので、購入前に販売店の最新情報を確認してほしい。