5年使うと言ったNikon Zfを、売った。
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僕は前の記事で、こう書いた。「5年使う」という距離感で、Nikon Zfを選んだ、と。
その約束を、僕は破った。Nikon Zfを手放し、Nikon ZRに買い替えた。
この記事は、その約束を破った理由と、乗り換えて失うもの、得るものを、包み隠さず書いた記録だ。乗り換えたのは2026年7月で、価格は2026年9月25日時点の数字に更新している。
Zen Gadgetではこれまで、「買う前に、手放すときを考える」と何度も書いてきた。カメラや家電を選ぶとき、5年後、10年後に自分がどう使っているかを想像してから買う。それを読者に勧めてきた張本人の僕が、5年経たずにNikon Zfを売った。今回はその矛盾を隠さず、なぜそうなったのかを書く。
なぜ、5年の約束を破ったのか
理由は2つある。娘の姿を動画で残したくなったことと、カメラを何台も持たないという考えだ。
一つ目は娘のこと。表情や動き方が、先月と今月で違って見える時期になった。写真の一瞬だけでなく、動く姿と声で残したいと思うようになった。
二つ目は、複数のカメラを持つべきではないという僕の考えだ。動画で記録を残したいなら、Zfに動画用のカメラを買い足すのではなく、1台を入れ替える。そう決めて、Zfを手放した。
Nikon Zfの動画は最大4K UHD 60pで、RAWでの内部収録はできない(Zf 仕様)。動画で残すことを中心にするなら、Zfは写真機のままだった。
Nikon ZRという選択、630gという数字の符合
Nikon ZRは2025年10月24日に発売された。ニコンダイレクトの価格は299,200円(税込)からで、2026年9月25日時点のカメラのキタムラの新品価格は269,280円(税込)だった(カメラのキタムラ)。
ZRを選んだのは、軽さと動画性能の両方が、Zfを上回っていたからだ。
数字を並べると、面白い符合がある(Zf 仕様・ZR 仕様)。
| 項目 | 重さ |
|---|---|
| Nikon Zf 本体のみ | 630g |
| Nikon Zf 実使用(バッテリー込み) | 710g |
| Nikon ZR 実使用(バッテリー・カード込み) | 630g |
ZRの実使用重量630gは、Zfの本体だけの重さと同じ数字だ。バッテリーとカードを入れて構えた状態のZRが、Zfの裸の重さに並んでいる。持ってみると、その差は数字以上にはっきり分かる。
マウントはどちらもNikon Zマウントで、レンズはそのまま付けられる。ただ僕の40mm f/2 SEはZfのレンズキットだったので、下取りで一緒に手放すしかなかった。これ一本でかなり使えるレンズだったから、本当は残したかった。
Nikon ZRの動画性能は、Nikon Zfと何が違うのか
動画に関しては、次元が違う。
| 項目 | Nikon Zf | Nikon ZR |
|---|---|---|
| 動画解像度(最大) | 4K UHD 60p | 6K 59.94p |
| RAW動画内部収録 | 非対応 | 対応(12bit・N-RAW/R3D NE/ProRes RAW HQ) |
| メカシャッター | 搭載 | 非搭載 |
Zfの動画は最大4K UHD 60pで、RAWでの内部収録はできない(Zf 仕様)。ZRは6K 59.94p、12bit RAWの内部収録に対応し、形式はN-RAW、R3D NE、ProRes RAW HQの3種類だ(ZR 仕様)。
ダイナミックレンジは最大15+ストップ、R3D NEのときはベースISOを800と6400で切り換えられる(ZR 特長)。放熱はファンを持たないパッシブ設計で、内蔵マイクで32bit floatの録音ができる(ZR 製品ページ)。
Zfの動画が「写真機のついでの動画」だったとすれば、ZRは動画のためのカメラだ。娘の姿を動画で残したい僕には、この差が決め手になった。
背中を押したのは、マップカメラの下取りだった
買い替えを決める最後の一押しになったのは、マップカメラの下取りだった。
新品のZRと同時にZfを下取りに出したら、査定額に20%が上乗せされた。こうした上乗せは期間限定のキャンペーンで、条件は時期によって変わる。今乗り換えるなら、その時点のマップカメラの案内を確かめてほしい。
Zen Gadgetでは、買う前に手放すときを考えることを、繰り返し書いてきた。カメラの買い替え時期についても、売り時と買い時を分けて考えるべきだと書いた。今回のZf→ZRの乗り換えは、その考え方を自分で実践した形になる。下取りで値がつく道具は、買う判断も、手放す判断も、軽くなる。
手放して失うもの、メカシャッターの感触
隠さず書く。ZRに乗り換えて、失うものもある。
一番大きいのは、メカシャッターだ。ZRにはメカシャッターがない(ZR 仕様)。Zfのシャッターの音と、ダイヤルのクリック感は、僕は好きだった。
写真を撮る楽しみそのものも、これまでより薄れるかもしれない。ZRはダイヤルを回して撮る方向のカメラではない。
これは覚悟の上での乗り換えだ。だからこそ、ここに書き残しておく。
それでも僕が得たいもの
写真を撮る楽しみが失われるとしても、それは記録を残すエネルギーに変換して、たくさん使っていくつもりだ。
娘の変化を、写真の一瞬だけでなく、動く姿と声で残せる。動画という形で残せるものが増えるなら、失うものと引き換えにする価値はあると、今は思っている。
約束を破ったことに、言い訳をするつもりはない。5年使うつもりで買ったZfを、2年あまりで手放した。それでも、その時々で自分と家族にとって一番いい選択をする、というのがZen Gadgetの本当の哲学のはずだ。約束を守ることより、今の自分に正直でいることを、今回は選んだ。
ZRがどんなカメラか気になる人は、下のリンクから見てほしい。価格は変動するので、詳しくは商品ページで確認を。
Zfから移る人へ
乗り換える前に、揃えるものを確かめておきたい。
- 記録メディア。 ZRのスロットはCFexpress Type B/XQDとmicroSDで、ZfのSDカードはメインスロットに入らない(ZR 仕様)。動画用にCFexpressカードの予算が要る。
- 充電器。 付属品はバッテリー、ストラップ、USB-Cケーブル、シューカバー、ボディキャップで、充電器とACアダプターは入っていない(同ページ)。
- 引き継げるもの。 バッテリーのEN-EL15cとZマウントのレンズはそのまま使える。
- 慣れる時間。 大事な撮影の前に、1週間は毎日触っておきたい。ファインダーのあるZfから、ファインダーがなく4.0型の液晶で撮るZRへの持ち替えになる(ZR 仕様)。
よくある質問
Nikon ZfとNikon ZRでレンズは使い回せますか
使える。両方ともNikon Zマウントの機種で、レンズは共通だ。Zfで使っていたZマウントのレンズは、ZRにもそのまま付けられる。バッテリー(EN-EL15c)も共通。ただしZfのSDカードはZRのメインスロットには入らない。
マップカメラの下取りは必ず20%増えますか
いいえ。僕のときは20%上乗せされたが、これは期間限定のキャンペーンで、条件は時期によって変わる。「必ず20%増える」という前提で計画を立てず、購入前にマップカメラの公式情報で最新の条件を確認してほしい。
Nikon ZRにメカシャッターはついていますか
ついていない。Nikon ZRはメカシャッターを搭載していない機種だ。Nikon Zfのような金属ダイヤルの操作感やシャッター音の質感を求める人には、この点は乗り換え前に知っておいてほしい。
Nikon ZRの動画性能はNikon Zfとどれくらい違いますか
大きく違う。Zfの動画は最大4K UHD 60pで、RAWの内部収録はできない。ZRは6K 59.94p、12bit RAWの内部収録(N-RAW/R3D NE/ProRes RAW HQ)に対応し、ダイナミックレンジは最大15+ストップ、内蔵マイクで32bit floatの録音ができる。
今回の乗り換えで後悔はありませんか
いまのところ、ない。メカシャッターの感触や、ダイヤルを回して撮る所作は確かに手放した。それでも、娘の姿を動く記録として残せることのほうが、今の僕には重い。撮る楽しみを味わうより、残す量を増やすほうを選んだ、というだけの話だ。半年後、一年後に気持ちが変わったら、それもまた正直に書く。
仕様はNikon公式の仕様ページ、価格は2026年9月25日時点の各ページに基づく。マップカメラの下取りキャンペーンは時期により内容が変わる。
最終更新: 2026-09-25