Camera / gr3-hdf-blackmist
zengadget.jp
Camera 2026.09.07 Read 22 min

HDFが抽選で買えないので、GR IIIにブラックミストを付ける

先に断っておく。この記事に作例はない。僕のRICOH GR III Diary Editionは、まだ未開封のまま手元にある。 新品で手に入れてしまったせいで、開けた瞬間に新品ではなくなるのが惜しくて、封を切れずにいる。

先に答えを書く。GR IV HDFが抽選で買えないなら、手元のGR IIIにNiSiのアダプターとKenkoのブラックミストNo.05を付ければいい。合計7,670円。ただし同じ絵にはならないし、ポケットには入らなくなる。


HDFとは何か

まずここから書く。GRを追いかけていない人には、たぶん一度も聞いたことのない略語だと思う。

HDFは Highlight Diffusion Filter(ハイライト・ディフュージョン・フィルター)の略で、カメラの中に入っているフィルターのことだ。リコー公式の説明をそのまま引く。

HDF(Highlight Diffusion Filter)は、リコーが長年培ってきたインクジェット技術を用いて印刷を施したフィルター。ハイライト部が拡散され、ハイライト部周辺がにじむのが特徴です。 (リコーイメージング公式)

「ハイライト」は写真の明るい部分のこと。街灯、窓から差す光、水面の反射。そこがにじむ。輪郭がきっちり出るのではなく、光がふわっと周りに漏れる。

現代のレンズは、放っておくと隅々までシャープに写る。それは性能としては正しいのだが、記憶の中の風景はもう少し柔らかい。その差を埋めるのがこの手のフィルターだ、と考えるとわかりやすいと思う。

そしてこれは、外付けのフィルターでも似たことができる。デジカメWatchのレビューはHDFをこう説明している。

そもそも「HDFって何?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。カメラのレンズ前に装着する、いわゆるブラックミストフィルターやホワイトミストフィルターと言われる、光の拡散効果を得られるソフト系レンズフィルターと同様です。 (デジカメWatch 新製品レビュー・2026年3月4日)

つまり効果の種類としては、同じ系統の話をしている。


GR IV HDFは、いま抽選でしか買えない

そのHDFを内蔵したモデルがGR IV HDFだ。定価222,000円(税込)。

リコーイメージングストアでの表示は「ご注文受付は抽選販売とさせていただきます。」で、2026年8月31日時点でSOLD OUT・次回未定だった。

しかもこれはHDFに限った話ではない。同ストアでは現行のGR 6機種すべてが抽選販売の対象になっている(2026年8月31日時点)。「HDFが抽選だから普通のGR IVを買おう」という逃げ道は、いまはない。

GR IIIはどうか。こちらは2026年6月16日発表・7月1日実施の価格改定の対象6機種にも入っていない。理由は単純で、リコー公式のラインナップに「RICOH GRIII 生産終了」と書かれているからだ。中古はあるが、カメラのキタムラで254,100円(B・並品/3点・2026年8月31日時点)。新品のGR IVの最安239,734円より高い。

念のために書いておくと、旧型に回れば安く済む、という話ではまったくない。すでに手元にGR IIIがある人向けの記事だと思ってほしい。


外から付ける、という選択

内蔵されていないなら、レンズの前に付ければいい。必要なものは2つだけだ。

製品価格(税込)
アダプターNiSi GRレンズアダプター GR III用(PR-11)4,620円
フィルターKenko ブラックミスト No.05 N 49mm3,050円
合計7,670円

いずれも2026年8月31日時点。フィルターの3,050円はリコーイメージングストアの価格で、同日の在庫表示は「残りわずか」だった。GR用のフィルターをリコー自身が置いている、というのはそれ自体が選ぶ理由になる。2026年9月3日に再確認したところ価格も在庫表示も変わっていなかった。なお同日時点で、カメラのキタムラは同じ品を3,042円で載せているが「納期未定」、楽天市場ではマップカメラ・キタムラ・ケンコー公式のいずれの店にも49mmのNo.05 Nは並んでいなかった。リコー公式ストアなら確実に買える(3,050円・残りわずか)。なおAmazonには、同じNo.05 N 49mmのAmazon限定パッケージ(型番014929)があり、2026年9月6日時点では在庫があった。楽天市場で「No.05 N 49mm」が転売価格で並んでいたのは、この型番のものだった(2026年9月3日時点)。

※以下のリンクは広告(アフィリエイト)を含みます

アダプターは新型を選ぶ

GRのレンズは電源を切ると本体の中に引っ込む。これを沈胴(ちんどう)という。だからGRにはフィルターのねじ山がない。ねじ山を作るための部品がアダプターだ。

NiSiのものは公式サイトで2種類ある。

価格(税込)ロック機構装着したまま沈胴
新型 PR-114,620円オートロック搭載可能と明記
旧型2,750円なし記載なし

新型のページにはこう書かれている。

アダプターを装着したままレンズの収納も可能です。

旧型のページには、この一文がない。日本語ページにも、構造化データにも見当たらなかった(海外サイトは旧型のURLが新型ページへ転送されるため、確認できていない)。書かれていないことを「できる」とは読めない。

差は1,870円。カメラ本体の値段を思えば誤差の範囲だし、ここで浮かせて、毎回アダプターを外す運用になるかもしれないほうがつらい。新型を選んだほうがいい。

純正のGA-1もある

NiSiを挙げたが、リコー純正にもレンズアダプター GA-1がある。公式アクセサリーページには「ワイドコンバージョンレンズGW-4やφ49mmのフィルター(市販品)の装着が可能です」とあり、6,200円(税別)。僕はこれをワイコン専用のアダプターだと思い込んでいて、調べて初めてフィルターも付くと知った。

それでもNiSiにした理由は単純で、フィルターを付けるだけなら、そっちのほうが安いからだ。GA-1はGW-4(32,000円税別)を付ける前提の部品で、6,200円税別は税込に直すとおよそ6,820円。フィルターだけが目的なら、NiSiの4,620円で足りる。

もう一つ、リコーのページにはGA-1を付けたままレンズを収納できるかどうかが書かれていない。「装着したままレンズの収納も可能」と明記しているのは、いまのところNiSiの新型だけだ。ワイコンも使うつもりならGA-1のほうが筋がいいと思うが、この記事の目的にはNiSiで十分だと判断した。

なお、僕が持っているのはGR III Diary Edition という特別仕様だ。NiSi側は「GR IV用・GR IIIx用・GR III用」の3分類しか書いておらず、Diary Editionという名前は出てこない。ただし取り付け口は同じ部品らしい。Diary Editionには交換用としてリングキャップ GN-1(BK)が同梱されていて、これは通常のGR III/IIIx用と同じ部品だ。NiSiのアダプターは、そのリングキャップを外して装着する方式だ。

そこまでは公式の記述で確認できる。ただ「だから確実に付く」とはメーカーが言っていないので、断定はしない。開けたら確かめて追記する。


なぜ No.05 なのか

ケンコーのブラックミストには3種類ある。数字が小さいほど効果が弱い、と覚えると混乱しない。

種類効果の強さ49mm 希望小売(税別)
No.1基準(最も強い)4,400円
No.05No.1の 1/24,400円
プロテクターNo.1の 1/44,900円

そもそもブラックミストが何かというと、ケンコー公式の言葉ではこうなる。

「ブラックミスト」は、非常に微細な黒い拡散材を光学ガラスで挟み込んだソフトフィルターです。ハイライトとシャドウ部のコントラストを抑え、柔らかな描写にしたり、特有の光拡散効果があります。 (ケンコー・トキナー公式)

ガラスの中に、目に見えないほど細かい黒い粒が入っている。そこを光が通ると散らばる。それだけの、わりと単純な道具だ。

「No.05」という名前は、ケンコー自身が「05(ゼロゴ)は0.5の意味です」と説明している。No.1の半分、ということだ。ついでに書いておくと、末尾の「N」は現行パッケージの表記で、ケンコー公式によれば「製品本体にNの表記はありません」。フィルターの枠を見て「Nがない」と慌てなくていい。

GR IIIにこれを選ぶ理由は3つある。

  1. もっと弱いプロテクターは、49mmが手に入りにくい。 ケンコー公式が「本製品は取扱販売店限定商品です」と明記していて、リコー公式ストアのフィルター棚にも49mmは並んでいない
  2. リコー自身がNo.05Nの49mmを扱っている。 GR向けとして公式が置いている
  3. 28mmは、そもそも効果が出にくい側だ。 ケンコー公式が「望遠側では効果が強く、広角側では効果が弱くなります」と書いている。GR IIIは28mm相当。ここでさらに1/4のプロテクターを選ぶと、付けた意味がわからなくなる可能性がある

僕の好みを書いておくと、ミストフィルターは強すぎるとわざとらしくなる。狙って盛った感じが出る。できるだけ弱く、あとから見て「なんかいいな」で済む程度がいい。その好みと、広角で効きにくいという条件がちょうど逆を向いているので、No.05がその釣り合いの位置になる。

露出への影響も小さい。ケンコー公式によれば露出倍数は約1/3絞り分。ほぼ気にしなくていい範囲だ。


同じ絵にはならない

ここははっきり書いておく。外付けのブラックミストは、HDFの代わりにはならない。

置き場所が違う。リコーの技術ページによれば、HDFは「撮影レンズ系の開口絞りの近く」に置かれている。レンズの内部だ。対して外付けのフィルターは、レンズのいちばん前に付く。光が通る順番も、散り方も違う。

メーカーが等価だと言った記録はどこにもない。根拠のある比較実測も、探した範囲では見つけられなかった。似た方向の絵にはなるが、同じにはならない。ここを曖昧にしたまま7,670円を使ってもらうのは、さすがに気が引ける。

そのうえで、外付けにしかない利点が1つだけある。

GR IV HDFは、リコー自身が「HDF搭載により、NDフィルター非搭載となります」と製品ページに明記している。内蔵する場所が1つしかないので、HDFを入れるとNDが入らない。

NDは、光の量を減らすフィルターだ。晴れた昼間に絞りを開けたいときや、水の流れを線として写したいときに要る。HDFを選ぶと、それを捨てることになる。

外付けなら、外せばいい。ミストを外してNDを付けられるし、PLも付けられる。PLは反射を抑えるフィルターで、ガラス越しの撮影や、空の青を濃くしたいときに効く。僕は予算ができたらCPLも買うつもりでいる。

内蔵の手軽さを取るか、選べることを取るか。そういう分かれ方だ。


ミストフィルターは、すでに手放せなくなっている

GR IIIは未開封だが、ミストフィルターそのものは別のカメラで使っている。

Nikon ZRに付けて撮ったとき、写真も映像もかなり好きな絵が出た。あれ以来、これは絶対に持っておきたい道具になった。それ以上うまく言葉にできないのだが、好きだったという事実だけは確かだ。

ただし、ミストがGRの問題を解くわけではない。そこは分けて書いておきたい。

以前GR IIIを持っていたとき、娘を撮るとなんだか冷たい感じの、作品ぽい写真ばかりが残って悩んだ。3か月で手放した理由もそこにある。

あれの原因が何だったのかは、いまになってわかった。設定の作り方にたどり着けていなかっただけだ。


ポケットには入らなくなる

いい話ばかり書いても仕方ないので、代償のほうを書く。

アダプターを付けたら、確実にポケットサイズではなくなる。 GRの最大の武器は、ポケットに入れて存在を忘れられることだ。NiSiはアダプターの外形寸法を公表していないので厚みの数値は書けないが、ポケットに放り込める前提は崩れる、というのが僕の見立てだ。

そしてケースが要る。ここが意外と厄介で、GRは元が小さいぶん、風呂敷のようなラップで包む運用にすると、かさばるストレスがかえって大きい。専用のケースを買うなら、アダプターを付けた状態で入るかどうかまで見て選ぶ必要がある。

背面の保護フィルムは必須だ。 GR IIIの背面は液晶がむき出しで、ボディが小さいぶん鞄の中で他のものと当たる。フィルターより先に用意しておきたい。

ついでに書いておくと、SDカードは別売りだ。カメラを手に入れてもカードがなければ1枚も撮れない。予備のバッテリーもあったほうがいいと思っている。小さいカメラは電池も小さいので、1日持ち歩く日は不安が残る。カメラ本体だけ買っても撮れない、というのはこういう部分の話だ。

運用をどうするかは、まだ決めていない。

  • 常時装着:もうそういう一台だと覚悟して、少し大きいカメラとして持ち歩く
  • 必要なときだけ装着:普段は素のGRとしてポケットに入れ、撮りたい光に出会ったら付ける

どちらが自分に合うかは、使ってみないとわからない。フィルターをねじ込んだ状態で沈胴できるかどうかも、NiSiもリコーも書いていないので、そこは開けて確かめるしかない。

ひとつだけ先に言えるのは、その日いきなり本番で試すのはやめたほうがいいということだ。付け外しの手つきも、どの光で効くのかも、慣れが要る。旅行や行事に持っていくなら、少なくとも1週間は普段の散歩で触っておきたい。


前回つまずいた原因は、いま検索すれば出てくる

GRは、本体の中で絵づくりをかなり細かく作り込める。リコーはこの機能をイメージコントロールと呼んでいて、コントラスト、シャープネス、色の出方をそれぞれ調整できる。その設定の組み合わせをGRの使い手たちが公開していて、そちらはレシピと呼ばれている。

僕が3か月でGR IIIを手放した2024年当時、僕はそれに気づいていなかった。娘が生まれて間もない時期で、そもそも調べる時間がなかった。

ただ、撮れた絵がつまらなかったわけではない。むしろ逆で、撮って出しの映りはかなりかっこよかった。

見ているうちに、渋谷でストリートスナップを撮っていた頃の自分を思い出した。あの頃の感覚が戻ってくるようで、単純にワクワクした。

そこで我に返った。いま優先すべきは、目の前の小さな命のほうだ。

そう思った瞬間、別の考えがついてきた。この絵を追いかける時間が自分にないのなら、このカメラは必要ないんじゃないか。

それで手放した。

ただ、これを「自分には合わないカメラだった」と書くのは、いまとなっては違うと思っている。このカメラのポテンシャルを理解しないまま、向き合わなかった。 その結果として、売る羽目になった。そういう順番だ。

相性の問題にしてしまうと、話がそこで終わる。実際には、終わらせたのは僕のほうだった。

判断そのものが早すぎた。

いま同じことを調べると、Instagramで見つかる。気に入った絵を見つけて、その設定を真似すればいい。当時ほしかった情報が、いまは手に入るようになっている。

なので、この記事に作例を載せられないことについては、あまり申し訳なく思っていない。僕が10枚並べるより、GRの型番や関連するタグで検索して、何百枚も見てもらうほうが確実だ。 自分の好みに近い絵を見つけて、その人の設定を真似するところから始めるのが、いちばん早い道だと思う。

そして、これがGRが家族の記録に向くかどうかを、もう一度確かめたい理由でもある。前回の結論は、機材の性格ではなく、僕の情報不足で出たものだった可能性が高い。

いまのところの結論

7,670円で、GR IV HDFの代わりになるわけではない。それははっきりしている。

それでも、内蔵を待って抽選に並び続けるより、いま手元にあるGR IIIの前にガラスを1枚足すほうが、撮れる枚数は増えると思っている。ミストの効果そのものは、別のカメラで確認できている。

あとは僕が、この封を切るかどうかだけだ。


注記

  • RICOH GR IV HDFの定価222,000円・抽選販売・SOLD OUT・次回未定の表示は、リコーイメージングストアの商品ページの2026年8月31日時点の観測に基づきます。
  • 現行GR 6機種が抽選販売の対象である点は、同ストアの抽選販売対象商品ページ(最終更新2026年8月21日)に基づきます。
  • GR IIIの生産終了表記はリコーイメージング公式に基づきます。
  • 中古254,100円はカメラのキタムラ、新品最安239,734円は価格.comの2026年8月31日時点の観測値で、在庫により変動します。GR IIIの新品出品(1店舗・362,999円)は価格.comの2026年9月6日時点の観測値です。
  • HDFが「撮影レンズ系の開口絞りの近く」に配置される点は、リコーの技術ページに基づきます。
  • NiSiアダプターの価格・仕様は、新型PR-11がNiSi公式(GRレンズアダプター)、旧型が同(GR III用レンズアダプター)、ブラックミストの効果比較と焦点距離による差はケンコー・トキナー公式(No.1 N / No.05 N / プロテクター)に基づきます。
  • Diary EditionへのNiSiアダプターの適合は、メーカーが明言していません。 Diary Editionの同梱品にリングキャップGN-1(BK)が含まれ、それが通常のGR III用アクセサリと同一部品である点までが公式の記述です。
  • リコー純正レンズアダプターGA-1の仕様(φ49mmフィルター対応・6,200円税別)とGW-4の価格は、リコー公式アクセサリーページの2026年9月3日時点の記載に基づきます。税込およそ6,820円は10%で換算した筆者の計算です。
  • 「リングキャップを外して装着する」という説明は、NiSiの旧型アダプターのページにあるものです。 新型PR-11のページにこの記述はありません。新型も同じ方式であること、およびDiary Editionに装着できることは、いずれも筆者の推測です。開封後に確認して追記します。
  • フィルターを装着した状態で沈胴できるかどうかは、NiSi・リコーとも記載がありません。 アダプター単体について「装着したままレンズの収納も可能」とNiSiが書いているところまでが確認できた範囲です。
  • 「Amazon限定パッケージ(型番014929)」は、Amazonの商品ページの商品名(「Amazon.co.jp限定 … 014929 特別パッケージ」)に基づきます。Amazonの価格は変動が大きいため本文には書いていません。
  • 再確認の日付: フィルターの価格・在庫(リコー公式ストア/カメラのキタムラ)・楽天の出品状況・リコー純正GA-1のページは2026年9月3日、Amazonの在庫・価格.comのGR III新品・NiSi旧型の在庫表示は2026年9月6日に確認しました。それ以外の価格・在庫は2026年8月31日時点の観測値です。
  • 本記事のGR III Diary Editionは2026年8月時点で未開封・未使用です。作例、装着感、画質に関する記述はありません。 ミストフィルターの効果についての記述は、Nikon ZRでの使用経験に基づきます。

最終更新: 2026-09-07